【 コラム 】

2012年8月
『 Don't think feel 』
 毎年7月26日は陽明寺で“大般若”という行事が執り行われる。大般若は陽明寺では一年の内の二大行事の一つ(あと一つは8月16日の大施餓鬼)と和尚さんが言っていた。昔々に疫病が流行った。お祓いで疫病を鎮めるための御祈祷会。それが大般若会。午後一時前。暑いから風通しの良い恰好で行く。お寺の行事だからそれなりの服装でのぞむ。歌の練習をしている。山門をくぐる前からそれは聞こえてきた。ああ、確か去年も練習したな。今年は男の人の人数が多く感じる。女性は少ない。今日、この会の後、護寺会の総会がある。新旧の役員さん達がいらっしゃっているからだろう。ご苦労様です。お坊さん、15人くらい。私と同世代の方々(四十前くらい)が目立つ。いわゆる若手ってヤツか。お線香のけむり。煙が風に舞う。ろうそくの炎が揺れる。揺れに揺れるが消えない。おととしからこの行事に参加させてもらっている。昨年、一昨年もやはり暑い日だった。風が吹く。昨年、一昨年も。風はお寺の中を駆け巡る。線香の煙、香りをまき散らす。太いろうそくの炎が消えるのか・・・いや消えない。誰かが遊んでるように。扇風機の風(これいるか?)。池に落ちる水の音。体育会系に読まれるお経。歌声。私はそれを可もなく不可もない顔で聴き入る。Live、エンターティナーショー。ありがたみワールド。終わるとさっきの練習の歌を皆で歌う(はじまる前も歌う)。参加型なのだ。この日一番の発見はお掃除ロボットがあったことだ。私の座ったとなりに鎮座していた。黒の円形のそいつはここにいる誰よりもまして崇め奉られ感の強い、威風堂々の存在感だった。このDロボットくんが誰もいないこの広い本堂を静々とお掃除しているお姿。何よりも深くこうべを垂れさせられる。大般若会が終わる。風が止む。(いやその前の法話の時点でもう風は止んでいた。法話の時間はダラダラ汗が出て熱くなってきた。)人々は帰る。帰ってやっぱり大般若の日は暑いねと家族に言う。それでいい。

written by Tomohiro