TOP > 歴史・地理 > 伝承「棺は空っぽ」 ≪ 伝承「棺は空っぽ」 ≫
 昔、服織村の洞慶院の僧が大川村栃沢辺りまで托鉢をした。夕立にあったその時、向こうから葬式が来た。僧は葬式に近付いて「可哀そうだな、棺には死人がおらぬ」とつぶやいた。それを耳に入れた一人が「何を言うだか、乞食坊主が」と、くさしたものの気がかりなので、棺を下ろしてふたを開けてのぞくと「いない、いない」。困惑して僧に「死人を納めて下さるまいか」と頼んだ。僧は呪文を唱え「入ったよ」と言った。成程入っていた。
(静岡県伝説昔話集)
 

現在・栃沢にある竜珠院は洞慶院の末寺となっている  
引用:『新版 駿河の伝説』(小山枯柴編著.羽衣出版.平成6年)