TOP > 歴史・地理 > 伝承「上湯島の温泉」 ≪ 史話「上湯島の温泉」 ≫
 江戸時代、藁科川の上流の上湯島に温泉が出て、山奥とは思えぬ賑わいを見せていた。温泉の出たのは湯本館一軒だけで、源泉は裏の石垣の間から流出て、湯坂を通って湯漕に入れ、それを男女二つの浴室に引いた。客室は其隣に二階建、三間に六間の構えであった。 文政(1818-1829/江戸後期)の頃、湯女が色男と入浴しているところへ、亭主が馬の首を切って抛りこんで湯は真っ赤になったので、二人は驚いて逃げた。それ以来温泉が出なくなったので、あの時馬の血で汚がされたからだと云われた。郷土誌には、二人の武士が女を争って斬り合いとなって湯を汚した、と書いてある。
 然し昔此辺に山崩れがあって、其際湯の道を断たれたとも云われている。
(湯本泰弘)
 
<現在は市営の湯ノ島温泉が開業している>
引用:「梶原景時の生涯ほか」(松尾四郎、松尾書店、平成56年)