TOP > 歴史・地理 > 「日向他/盆踊り」 ≪ 習俗「大川型盆踊り」 ≫
◆ササラをする
 大川地区の日向で、かって昔風の盆踊りをやろうという時に、「サラサをすらず」といった。有東木などで使われているササラの話しをしても、そのようなものは見たことがない、という返事が返ってきて、実際のササラは全く伝えられていないが、かってはササラを使用したにちがいない。・・・(中略)・・・
 ここの盆踊りは土地の人が「ハウタばかりだっけ」というように、短い詞章を次から次へと思いつくままに歌っていくもので、男女混合で輪を作り、締め太鼓に合わせて、ミセのカドのような広い所で踊ったという。諸子沢では寺でやったそうだ、という話しも聞かれたが、実際に諸子沢では確認できず、ただササラという言葉は聞いたことがある、という程度だった。その他、坂ノ上・栃沢でもかっては類似のものがあったようで、清沢地区の小島(大川の下流にあたる)で行われていたものも、このタイプに属すようである。太鼓を打つ人や歌出しに特定の人が決まっていたわけではないが、日向ではやはり歌の上手の血筋みたいなものもあり、親子揃って上手だった、という家もある。だいたい大正時代頃までで、古い盆踊りは踊られなくなってしまったようだ。次に日向に伝わる詞章を掲げておく。

<日向の盆踊り歌詞章>

お月ゃちょいと出て 山の腰を照らす
金のかんざしゃ 髪照らす

盆にゃおいでよ 彼岸にゃ来でも
死んだ仏も 盆にゃくる

盆が来るそで 蓮の葉が売れる
わしのかわらけ まだ売れぬ

恋にこがれて 鳴く蝉よりも
鳴かぬホタルが身を焦がす

ぽんとたたいた 太鼓の音に
あの世この世の戸が開く

わしが上手で 歌うじゃないが
音頭出す衆の息休め

この他にももっとたくさんの詞章があったし、中には即興で気の利いた文句を作った人もいたに違いない。右の内、最後の歌は、歌出しが交代する時に歌うもので、こうして歌い手をかえては次々に踊りついでいったのである。


<現在は大川夏祭りとして毎年8月13日に開催> 


<現在も一般的な形で盆踊りは続けられている>


<川辺の大松明や精霊流しでにぎわう>
  引用:『安倍川流域の民俗』静岡県立静岡高等学校郷土研究部.昭和55年