TOP > 歴史・地理 > 「坂ノ上 耳地蔵」 ≪ 「坂ノ上 耳地蔵」 ≫
 

 安倍郡大川村坂ノ上(現・静岡市大川)の中央の田んぼの中(現在は、田んぼの北側角の藁科川沿い)に小さな地蔵が建っている。由来は分からないが、昔から耳地蔵と呼ばれ、耳をわずらう者が祈願すれば必ずなおしてもらえるというので信仰する者が多かった。なおれば願果たしに、近くの河原から耳の形をした穴のあいた石を拾ってきて、ひもに通し、地蔵の首にかけてやるか、または穴のあいた石を地蔵の前に供えることになっていた。

 最近は村の人でも、地蔵の存在すら知らない人もあるというが、古老の話しによれば、昔は願果たしにあげた穴あき石が積み上げられて、地蔵の身体が見えなくなるほど信仰者が多かったということである。地蔵はもと、部落の寺の境内にあったものを、同寺が廃寺になってから、ここに移されたものであるというが、年代など詳しく知っている人はいない。


引用:『ふるさと百話4』静岡新聞社.昭和47年