TOP > 歴史・地理 > 伝統行事「坂ノ上のタイマツ」 ≪ 伝統行事「坂ノ上のタイマツ」 ≫
 毎年8月13日、坂ノ上地区では、藁科川の川辺に大きな松明を立てて、川施餓鬼*1)を行う。大松明は、ハチコを束ねて直径60㎝、長さ約8メートルと約6メートルの大小2本作る。
松明作りは、1週間前に年番で回る松明当番が行う。ハチコはハチクという細い竹で、藁科川の川岸に生えているものを、前年の11月頃に伐って枯らしておく。ハチコを40本ほど束ね、モウソウチクを芯に入れ、燃えている途中で崩れないよう番線でしっかり締める。先端部分には、切り落とした粗朶や青竹を差し入れる。
 8月12日、松明を川辺に立て、倒れないよう竹の筋交いで支える。松明の中には点火しやすいように、油を染みこませた布を仕込む。また、河川敷の広場に施餓鬼棚も作る。
13日の夕方、村人が七夕飾りを松明の根元に持ってくる。施餓鬼棚には、施餓鬼幡やナスの牛、キュウリの馬、供物などをあげておく。午後6時、日向の陽明寺住職による川施餓鬼供養の読経が始まる。
 読経の最中、竹竿の先端に布に火をつけ、松明に点火する。読経が終わり、簡単な直会がすむと施餓鬼棚を壊し、松明で燃やす。同様に、納められた七夕飾りも燃やす。
松明への点火を目安に、各家では手作りの灯篭を持って墓参りに行き、灯明を灯す。また、子ども達が橋の上流から灯篭流しをする。

*1)施餓鬼(せがき)とは、餓鬼道(がきどう)にあって飢えと渇きに苦しむ餓鬼に飲食を施し、仏に供養することによって餓鬼を救済し、自身も長寿することを願う仏事をいい、特に川辺で死者の霊を弔う施餓鬼を川施餓鬼という。川辺や船を用いて行われ、施餓鬼法要の後に、水死者の法名を記した経木(きょうぎ)や供物(くもつ)などを川に流す。本来は時期を限ったものではなかったが、盆行事と結び付き精霊(しょうりょう)送りや納涼の要素が大きくなっていった。

<川沿いに設けられた施餓鬼棚> 


<燃えさかる2体の大タイマツ> 
引用:「藁科川流域の民族行事」(静岡市文化財課.平成21年)