TOP > 歴史・地理 > 習俗「屋敷神と屋敷墓」 ≪ 習俗「日向 屋敷神と屋敷墓」 ≫
 日向には、屋敷内に屋敷神と屋敷墓をもつ家々がある。そういう家には屋号がついていて、旧家であることが多い。そして、屋敷墓には初代である先祖をまつる。カジヤという屋号の家では、屋敷神としてカナヤマサン(金山社)をまつる。この家では屋敷神をショイガミといい、先祖が移住してきたときにもってきた神様だと言う。また先祖が刀鍛冶であったという家でも金山社をまつり、庄屋であった佐藤家や土着した小長井家でも屋敷神はやはり金山社であるとする。このように、日向には金山社を屋敷神とする家が非常に多い。鍛冶屋や刀鍛冶のように職業として金山社をまつる家もあるが、むしろ日向では金山社を屋敷神としてまつる習慣があるのではないかと考えられる。

 屋敷神の呼称として、ほかにイチヤシロ(一社)という言い方がある。「屋敷の一番隅っこに氏神さんをまつるものだ」といって、これをイチヤシロというのである。つまりイチヤシロというのは、その土地に住み着くときにまずまつる、地の神的な意味を持つとも言える。個人の家の屋敷神に限らず、神官家の屋敷跡ネギヤシキ(禰宜屋敷)は、イチヤシロというところにある。白髭神社は何度か移転を繰り返しており、前述したように仮宮跡がこのイチヤシロである。この場所を字で一谷城と表記しているが、白髭神社は神官家のイチヤシロ(一社)であったという見方もできよう。なお、この屋敷跡には、現在も神官家の屋敷墓が残っている。

旧家の家の裏山に祭られた屋敷神
神菅家の屋敷跡ネギヤシキに残る屋敷墓 
 
引用:『日向の七草祭』静岡市教育委員会.平成18年